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犬のがん治療について

2019年3月10日

犬も人間と同様「がん」になる子が増えました。近年では2頭に1頭の割合で「がん」になると言われています。これは、犬も長寿の時代に入ったことを意味します(昔はがんになる前に亡くなる子が多かったのです)。すなわち、良質フードの開発、生活環境の改善、獣医療の発展などにより、犬が長生きできるようになり、中高齢期に多い病気が増えたのです(※シニア犬に多い病気のページ参照)。がん細胞は、細胞の遺伝子の故障により発生します。そして中高齢期にはがん細胞を排除する免疫機構が弱まるため、がん細胞の増殖をゆるしやすいのです。したがって、中高齢になれば「がん」が発生しやすくなるのは当然のことなのです。

犬の「がん」も治療できるものが数多くあるため、がんになったというだけで諦める必要はありません。ただし末期になってしまうと、してあげられることが少なくなってしまうため、早期発見早期治療を心掛けることが大切です。体表のがんは犬の身体をよく触ることで、しこりを見つけてあげることが出来るでしょう(※犬に多い腫瘍のページ参照)。身体の中に発生するがんは発見しにくいので、X線検査や超音波検査などを含む定期的な健康診断が大事になります(※健康管理のページ参照)。

犬のがん治療も、人間と同様に、外科療法、化学療法、放射線療法、の3大治療が基本です。外科療法は手術でがんを摘出あるいは減容積すること、化学療法は抗がん剤や分子標的薬などの薬を投与してがんを縮小させるあるいは拡がりを抑制すること、放射線療法は放射線を当ててがんを縮小させること、を指します。標準治療は今もこの3大治療から単独あるいは併用により構成されています(※トピックス:標準治療についてのページ参照)。犬のがん治療においては、放射線療法は一般病院では行えず(大学病院で実施)かつ繰り返しの麻酔が必要なことから、現在でも敷居が高い治療であることが難点です。

がん治療は、手術で完全切除しやすいがんは治療しやすく、切除しきれないあるいはそもそも手術が効果的ではない、また転移しやすいがんは治療しにくい現状があります。しかしながら、完治は望めなくとも、質の良い延命を目指す治療は多くの場合存在するため、もしご自身の子(犬)ががんになっても、最初から諦めず、まずは標準治療を受けることを考えましょう。ただし理論上最良と考えられる治療が、その子にとっても最良かどうかは分かりません。がん治療を行うには様々な要因を考慮する必要があり、がんの種類や進行度合いだけでなく、併発疾患の有無の評価も非常に大事です。その子の体力に合わせた治療計画をたてるため、全身の検査を行い、適切な治療を選択する必要があります。併発疾患があれば、総合診療によるより柔軟な対応が求められます。がん治療の負担を懸念される方もいると思いますが、現在は各治療のリスクを軽減する技術も進歩しています、怖がり過ぎず、でも無理はせず、その子のコンディションと家庭環境にあった治療計画を選択しましょう。